■魔王・董卓
弱キ者ニハ死ヲ！脆弱ナ都、貧弱ナ民、全テ死スベシ！
コノ腐敗シタ中華、董卓ノ手デ創リ変エテクレル！
「ゆるさ」を売りにするこのサイトには
そぐわしくない人が突然出てきましたね
誰ですかこの人は？
三国志最大の暴君といわれる董卓です。西涼という中華の
左上の寒ーい地方のお偉いさんだったんですが、ひょんなことから
都に来て政権を奪取。独裁政権を築き上げたのです
ひょんなこととは？
説明すると長くなるので
簡単にまとめてみましたよ
時の大将軍・何進とその部下・袁紹は考えた
「皇帝陛下の周りにいる十常侍（宦官）が政治を支配している
このままでは中華の未来は暗い。奴らを排除しよう」
↓
とはいえ朝廷内にはあいつら（十常侍）のためならなんでもする
連中も沢山いる。失敗すれば自分達も危険だ
↓
「そうだ、各地の諸侯を呼んでそいつらに始末させればいいんだ！」
↓
各地から諸侯集まる。西涼からやってきた董卓が期待通りの活躍を見せ
十常侍を始末・・・しただけに止まらず自らの軍勢で都を支配。皇帝を
廃位し、新たに皇帝を擁立し、完全に政権を乗っ取ってしまった
というわけなのです
１，２段落までは立派なんですが３段落でいきなり
凄いことになってますな・・・それで呼んだ諸侯の
中に悪魔がいた、ということですか
ええ、そして董卓が史上稀に見る怪物だと知らずに
都に呼び出してしまった袁紹と袁術（何進はこの時
既に死亡）は大いに悩むことになるのです
・・・あわわ、やってもうた、下手こいた・・・
・・・まさか董卓がこんな悪魔だったとは・・・
ま、まずいよ。曹操は各地から諸侯を招くのはヤバイ
特に董卓だけはヤバイから呼ぶなって言ってたもんね
ど、どうする兄者？このままじゃ俺らの責任に・・・
董卓の暴走が無ければ大成功だったのじゃ！責任など取れるか！
そ、そうじゃ！曹操の奴が董卓を討つ討伐軍を結成すると
言っておったな？その討伐軍の指揮を我らが執るのじゃ！
董卓を倒せば汚名挽回、名誉返上じゃ！
・・・た、確かに董卓を倒せば俺らは一躍
天下の英雄、救国の士！か、完璧じゃないか兄者！
そうだろう！完璧だろう弟よ！
わはははははははは！
むきゃきゃきゃきゃ！
ようし「反董卓連合軍」結成じゃ！
董卓よ、名門・袁紹の力見せてやるぞ！
わはははははははは！
というわけで、袁紹は曹操と協力。各地の諸侯に
反董卓連合に参加するように要請します。この報せは
公孫サンのもとにいる劉備様のもとにももたらされました
何処からか猿の鳴き声が響く中、いきなりの
呼び出しとは何か御用ですか？
見よ、たった今、曹操殿から
届いた檄じゃ
【檄】
檄文ともいう。相手を討つ時に自身の意を表明し、
仲間を募ったりする際に用いられる文章のこと
ほうほう、読ませてくだされ
檄
我、大儀を持って天下の諸侯に告ぐ
董卓の暴虐で、宮中は乱れ、民は嘆き、
世は怨嗟に満ち満ちている
今、天子の密勅を受け、董卓を
倒す士を求めている
この檄を読んだ忠義の士、すぐに
集まりて我と共に国を救うべし
この檄を読み、各地の諸侯が「反董卓」の旗の下に
次々と集まっているらしい。俺もこれ以上、天下が
混乱する姿を見たくは無いのでな。参加することに
したのだ
して、我々をお呼びになった理由は？
ふむ、我が軍の精鋭を率いて都に行きたいのだが、国の防備を
考えると連れてはいけぬ。しかし貧弱な兵を連れて行けば
笑われかねん。そこで目をつけたのが御主らじゃ。御主らは
まさに一騎当千。俺とともに董卓討伐の軍に参加してほしいのだ
がはは、良い所に目ぇつけてんじゃねぇか！
俺様たちに任せてりゃ董卓の一人や二人屁でもねぇ！
天下の乱れを放置するわけにはいきません！
早速参加しましょう
うむ、急ですまぬが、すぐに出発する
我が軍の後ろに付いて来てくれ
こうして劉備様も公孫サンとともに
反董卓連合に参加します
董卓相手に大暴れをして「やはり黄巾賊の乱の時も
本当に活躍したに違いない！」と全国の諸侯を
納得させるのですな？
・・・
なんで黙るんぜよ！
あちこちから天下の諸侯が集まっています
我々はどうやら後発組のようですな
出遅れた分は活躍で取り戻せばいい
お、何やら始まるようだ
わはは、皆の者、遠路はるばるよく来てくれた！
「反董卓連合軍」の盟主・袁紹本初である！
我が指示に従い、逆賊・董卓との戦いに望んでくれ！
諸君らの奮戦を期待している！
あれ？檄文の主である曹操殿が盟主じゃないの？
なんで袁紹殿が偉そうな態度をとってるの？
曹操殿は優秀だが、地位が低い。かたや袁家は
四世三公の名門。曹操殿が、ここは袁紹を立てる
形にしたのであろう
さて、我々はこれから北上し、董卓と戦う！
最初の関門・水関攻めの先陣を
務める猛者はおらんか！
【諸侯】・・・・・（自分でやれ）
【諸侯】・・・・・（自分でやれ）
ぬぅ、諸侯のワシを求める視線はよくわかるが
ワシは総大将。軽々しく出るわけにはいかん！
おらんのか！？誰か勇者はおらんのか！？
その役目、孫文台が引き受けた！
あれは誰ですか？
長沙の太守・孫堅殿じゃ。孫子の末裔と
言われておる。なるほど、威風堂々としておる
【孫子】
数々の兵法書を残した大兵法家。孫武とも呼ばれる
孫堅の一族はこの末裔を名乗った
おお、新しい人物が出ましたね
「三国志」の三国の一つ、呉の礎となる漢です
劉備様、曹操、孫一族がこの後、天下を三分し
覇を競うことになるのです。ここは「蜀編」なので
出番は少ないですが非常に重要な存在ですよ
ふむふむ、よく覚えておきましょう
さて水関攻めの先陣を任された孫堅は勇猛果敢に
攻め続け、あと一歩で水関陥落という勢いでした
・・・が、数日後、連合軍司令部に驚くべき報告が
もたらされます
【斥候】ご注進、ご注進、水関で敵将・華雄と
戦っていた孫堅殿の軍が全滅しました！
孫堅殿は必死に軍を建て直しておりますが
これ以上、戦うことは不可能と思われます！
孫堅軍全滅！？数日前は有利に戦いを進めていると
報告があったではないか！一体何があったというのだ！？
【曹操の斥候】こ、これは極秘の情報ですが・・・
孫堅の活躍を妬んだ袁紹と袁術が兵糧を送らなかった
という噂が流れています。そのため孫堅軍は兵糧不足に陥り
そこを華雄に強襲され、撤退を余儀なくされたとか・・
（袁紹、袁術・・・くだらん真似を！）
最前線で戦っていた孫堅殿が敗れたと
いうことは敵も大人しくはしていまい
でしょうな。孫堅殿の撤退で華雄の軍は勢いを増し
ここ（連合軍の本陣）を攻める可能性も・・・！
ゥァアアオア！
ォオオオオオ！
な、何が起きた！？
ガハハ、コノ程度デ連合軍ナドトハ片腹痛イワ！
コノ戦イ、華雄一人デ終ワラセテクレル！
【斥候】ご注進、ご注進！敵将・華雄の軍が前線を突破！
ここまで到達するのも時間の問題かと思われます！
う、うろたえるな！中陣は我が軍の精鋭が固めておる！
守りは完璧じゃ！華雄の一人や二人、屁でもな・・・
コノ程度ノ守リ、華雄ニハ通ジヌ！
連合軍トハ名バカリノ腑抜ケ揃イダナ！
【斥候】ご注進、ご注進！完璧な守りがやすやすと
突破されました！華雄の勢い止められませぬ！
連合軍が華雄一人にやられてしまうというのか！？
な、なんとかならんのか！これだけの諸侯が
おりながら誰も華雄を倒せる将一人も持っておらんのか！？
【諸侯】・・・
【諸侯】・・・
このままではまずいぞ！
華雄を討てる猛者はおらんのか！？
連合軍に真の豪傑はおらんのか！？
ここに人なしとは言いすぎでございましょう！
それがしに命じてくだされば華雄などすぐに
討ってご覧にいれましょう！
むっ、お前は何者じゃ？
いかなる身分の将軍じゃ？
漢王室復興の大儀に生きる
劉備玄徳が義弟・関羽雲長！
身分は兵卒にござる！
へ、兵卒だと！兵卒ごときが偉そうに何をぬかすか！
誰か、この身分をわきまえぬ男を追い出せ！
袁紹殿、この関羽、類稀な豪傑にござる！
この漢の武勇は公孫サンが保障いたす！
ここは関羽に任せてみてくだされ
確かに、この場面でそれだけの啖呵が切れる豪胆さ
堂々とした風貌。只の足軽には見えぬ。もはや他に
手が無い、試す価値はある。関羽とやら見事、華雄を
討って参れ！
承知した。関雲長にお任せあれ！
では行って参る！
董卓軍の猛将・華雄の前に連合軍は壊滅の危機にさらされます
華雄を止めることのできない連合軍は当時、無名の関羽に
運命を託すことになったのです
弱イ、弱過スギル、コレデ連合軍トハ笑ワセ・・・
ン？ナンダキサマハ？
漢帝国復興を旗印にする劉備玄徳が義弟・関雲長！
董卓軍の将・華雄に一騎打ちを所望する！
関羽・・・聞イタコトモ無イ名ダガ、今マデノ
凡骨ニハ無イ威圧感、腑抜ケノ連合軍ニモ少シハ
出来ル奴ガイタヨウダ、面白イ、華雄参ル！
関羽雲長、参る！
ゥオオオオオ！
どっちだ！？
どっちが勝った！？
敵将・華雄、関雲長が討ち取った！
か、華雄を一撃だと！？
何者なのじゃあの男は！？
うろたえている場合ではないぞ袁紹！
今こそ総攻撃の指示を出すときだ！
はっ！・・・わ、ワシに命令するな！
そんな事ぐらいわかっておるぞ！
全軍、攻勢に転じるのじゃ！
ワァアアアア！
ゥォオオオオ！
関羽の活躍で形勢は逆転
この日の戦いは連合軍の大勝利に終わったのです
関羽とやら、よくやってくれた！
水関を落とすには至らなかったが
董卓軍に与えた影響は計り知れん
天下を乱す輩を葬るのは侠の役目
褒められるようなことではござらん
お主のような武人、是非とも
我が部下に欲しいものだ
我が主君は長兄・劉備玄徳
ただ一人にございます
はっはっは、劉備とやら羨ましいな！
そうだ、公孫サン殿の陣営に慰労の品を
贈っておいた。今日は勝利の美酒を
味わってくれ。それではさらばじゃ
曹操殿、お心遣い感謝いたす
それでは失礼
（・・・関羽か、あの武は我が使ってこそ価値がある
どんな手を使っても我が物にするぞ）
【簡単な説明】
袁紹、曹操を中心とする「反董卓連合」は都への第一関門
水関にたどり着いた。先陣の孫堅軍が奮戦するも、袁術などとの
確執で孫堅軍は撤退。敵将・華雄に次々と味方は葬られ、連合軍は
絶体絶命の危機に陥った。そこに立ち上がったのが、関羽であった
関羽は単騎で華雄の軍に飛び込むと、一撃で華雄を斬り捨てた
この戦いが世に名高い「水関の戦い」である。（この水関の戦いは
演義がベースです。実際の水関の戦いは孫堅軍の大活躍で終わりますが
その話はまたいつか・・・）
さぁ続きを読もう！
戻る