ぎえんの野望

前回、袁紹と同盟を組むことに成功した劉備様。その後
しばらくは何事も無く平穏な日々が続いていたのですが
この頃、都で大事件が起きます

■暗殺計画の発覚

殿、大変でございます！

むぅ…朝っぱらから大きな声を出すでない
何事が起きたと言うのだ程昱

そ、それが…昨日、重臣の董承の家で働く下男がこんなものを
持ってまいりまして…殿に対する暗殺計画書でございます
帝の密勅でこの計画は進められている上、密勅の中に劉備の
名も書いてあるのです。これがその密勅でございます

…ほぅ。帝といい劉備といい誰のおかげで今日まで生き残れたのか
忘れたわけではなかろうに、この曹操に反旗を翻そうというのか！
しかも「GENTOKU」だと？くっ、なめおって…かっこいいじゃないか！

（かっこいいのか？）
…董承含め加担者の処罰はいかがいたせばよろしいですか？
そ、それと勅をだした、その、帝は…いかがいたしますか？

加担者の一族郎党は全て捕らえて処刑しろ。帝は利用価値がある
董承らを全て処刑すれば二度と曹操に刃向かおうなどとは思うまい
むしろ問題は劉備だ。奴は見所のある男と思っていたが…劉備は
余自らが処分を下す。軍に指令を出せ！徐州を攻めるぞ！

密勅による曹操暗殺の計画は内部からの密告で曹操に発覚してしまい
董承ら加担者は全て捕らえられてしまいました。さらに曹操は自ら軍を
率いて劉備様のいる徐州を攻めたのです

劉備様はいつも攻められっぱなしですな
どのようにこの難局を乗り切るのです？

劉備様は同盟を結んでいる袁紹に
以下のような書簡を送ったのです

【好機ですよ】

曹操が大軍を率いて我が徐州に侵攻しようとしています
今ならば都の防備は薄いはずです。我らが曹操の侵攻を
食い止める間に袁紹殿は都を攻めれば労せずして都を
制圧できるでしょう。今こそ軍を動かす好機。てか動かせ

この書簡の内容通りに袁紹が動けば問題は無かったのですが
自体は劉備様の考えていたようにはいかなかったのです

殿、劉備からの使者が来て２日、何故動かぬのです！
今、軍を出さねば劉備軍全滅は間違いありませんぞ！
いや、それ以上に曹操を潰す千載一遇の好機なのですぞ！
すぐに軍を動かし曹操の都を狙いましょう！

…今、ワシの五男が病で明日をも知れぬといった状況でな
とてもではないが劉備を助けに行く気になどなれぬ

劉備救援以上に曹操撃滅の絶好の好機ですぞ！？
ご子息の病は確かに一大事でございますが、殿が
天下を掴むまたとない機会、これを逃してはなりませぬ！

…気乗りしない時は軍を動かしても良い事ないから
今回は何もしない。劉備に援軍も送らない。やばく
なったら逃げて来いとでも書簡を送っとけ

…むむむ、まさに天が与えた最大の好機だというのに…
分かりました。劉備の使者にはそう伝えておきます

という感じで袁紹は援軍を送ってくれませんでした
曹操率いる20万の精鋭が徐州に迫りつつありました

援軍無しで曹操軍精鋭の20万を
どうやって相手にするんです？

いつもの通りです。劉備様は袁紹からの書簡を
受け取った直後、袁紹のもとに逃げ出したのです
…が、劉備様と離れて下ヒ城を守っていた関羽だけが
逃げ遅れてしまい曹操軍に包囲されてしまったのです

でも関羽さんならなんとかできるのでは？
頭も良いし、腕は立つし、髯はつやつやですよ？

ところがですね。混乱の中、劉備様の家族が曹操軍に
捕らえられてしまったのです。曹操はそれを人質に関羽に
降伏を迫ったのです

先程、我が軍は劉備の家族を「保護」した
この意味、君ならば分かろう。貴殿のような武人
ここで殺すのは惜しい。我が軍に降れ関羽よ

…降伏しよう
しかし条件がある

ほう、この状況で条件とな？
面白い聞かせてみよ

１つ、貴殿に降伏するのでは無く漢朝に降伏する
２つ、長兄のご家族の安全を保障すること
３つ、長兄が生きていることが確認できたら暇乞いを
せずに去らせてもらうこと、以上の３つでござる

全て曹操の名のもとに保障してやろう
それにして余に降伏するのではなく漢朝に降伏、か
君のような硬骨の士、できるならば放したくはないものだ

…

こうして関羽は曹操の支配下に置かれました。曹操は
関羽を大変気に入り、関羽のために毎日のように宴会を
開いたり、偏将軍の称号を与えたり、呂布を倒した際に
手に入れた名馬・赤兎馬を与えたりして関羽をもてなしたのです

う～む。素晴らしい待遇ですな

しかし関羽が曹操になびくことは無かったので曹操は
大変悲しんだと言われてますね。さて徐州を失った劉備様は
袁紹のもとに逃げ込みました。そしてこの直後、袁紹がついに
曹操殲滅に動き出したのです

田ジイ、軍を動かすぞ
小生意気な曹操を叩き潰すのだ！

と、突然、何を申されるのです！？

何を申すも何も先日、「今が曹操を攻める好機～」とか
散々騒いでおったではないか？だから攻めるのだ

確かに一週間前位にそう進言しましたが…
現在はそのときのような状況とはまた違うというか…
あの時が最大の好機だったのでありまして…

何をごにょごにょ言っておるか！
更に今朝の占いで乙女座が一位であった
「戦をすれば負け無し」と言っておった
今があの小憎らしい曹操を潰す好機。間違い無い！

（…思いつきで行動を起こすのが殿の悪い癖だ）
御意。戦場は白馬野陣が良いでしょう。先陣は我が軍
二枚看板の一人・顔良に任せるのが良いでしょう

よし、すぐに軍を動かせ！
あの無駄飯ぐらいの劉備も参戦させろ
使えるものは全て使って曹操を滅ぼすのだ！
そして中華全土を統一、袁紹千年帝国を建国するぞ！

こうして袁紹が曹操を狙い南下を始めました
劉備様もこれに参加。曹操軍との戦いが始まるのです
今回はここまで

【簡単な説明】
曹操暗殺の計画が露見してしまい曹操に攻められることになった劉備は
徐州を捨て袁紹に保護を求めた。しかし劉備の家族を守っていた関羽だけが
逃げ遅れてしまった。劉備の家族を人質に降伏を迫られ、関羽は条件をつけ
曹操に降伏することになった

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